こうじ麹菌こうじきんについてのまとめメモ

麹菌は善玉菌(?)について、只今、本当に麹菌が腸内でも活動し人の健康に寄与するのか?について考察しています。

麹(こうじ)とは

麹とは、米や麦や大豆などの穀物の表面にカビの一種である麹菌(麹カビ)を繁殖させたもので、掛け合わせた原材料を分解するための酵素を得るために古来から利用されてきた、味噌や醤油や日本酒などの発酵食品を造るための食品材料。

多細胞真核微生物/糸状菌/真菌類/

麹の性質

耐熱性
低い。菌体より丈夫な分生子(胞子)でも60度で40秒ほどの過熱で死滅といったレポートがある。甘酒作りでは60度前後の温度で8時間から10時間ほど糖化保存するが、この時に麹菌は死滅すると考えられる。
pHとの関係
概ね酸性やアルカリ性には強度があるようで、Asp.oryzaeの場合はpH2 - pH11くらいの範囲で生育が可能。
乾燥に耐えられるのか?
麹菌の菌体は極めて細い細胞質で出来ており、乾燥した環境下でも体内に水分を保てるとは思えない。だからこそ、気中に水分の多い、湿度の高い場所で生えると考えられる。
耐紫外線性
低い。短時間の紫外線照射で死滅する。
麹菌は人の腸管内で活動できるのか?
麹菌が生育し活動する為には空気が必要。麹菌は酸素が無いと生きていけない偏性好気性菌。では、人の腸管内に空気があるかというとこれは考え辛く、最近よく聞く腸内細菌や腸内フローラの話によると、それらとして認識されている菌は空気が無くても生育し活動する嫌気性菌がほとんどの事。この話からすると、人の腸管内には空気や酸素はほぼ無いと考えらえる。これが事実ならば、腸管内で麹菌が生きていける可能性は相当に低いといえる。

麹の作り方

  1. 米を洗って水に漬け、よく水を吸わせたら、芯が無くなるまで蒸し器で蒸す。
  2. 蒸し終わったら広げてパラパラ状態にし、霧吹きで水分を補給しながら36度程度まで冷やす(あまり補給し過ぎると柔らかくなりすぎるから注意)。
  3. 冷えたところで麹菌をふり掛ける。
  4. 乾燥しないよう、湿ったサラシ布等で包み、空気に触れられるような環境下で30~32度程度に保温して数時間、発酵させる。
  5. 発酵中、米粒同士が絡まってダマになり、全体が締まってくるとその中心温度が上がってくるので、温度を下げるのと酸素を補給するのを兼ねて手入れを行う。一度パラパラに砕いて再度盛り、また30~32度に保温する。
  6. 一粒一粒の米表面を麹の菌糸が取り巻き、全体的にも満遍なく麹カビが行き届いたら、生麹の出来上がり。

麹菌(麹黴)は種付け後、1~2時間で半数以上の胞子の発芽が始まり、3~5時間後には発芽を終える。8~10時間後からは発熱し始め、10~11時間後には種付け直後よりも0.5~1度の品温上昇、15時間後くらいには熱を持つようになる。17~18時間後くらいには米粒に潤み生じて半透明になり、ところどころに小さな斑点が見られるように。これをこのまま放置しておくと自分らの熱で、完全に育ちきっていない麹菌もが死滅する部分が出てくるので、この熱と炭酸ガスの放散と酸素の供給の為にお互いに絡まって締まった麹米らを一度ほぐしてバラバラにし、再度均す “手入れ” を行う。

麹黴が胞子を付ける直前の実がなる前くらいが一番良いのかもしれない。
育成期間にして約2日(48時間)。

とりあえず出来上がったら砕いてみて麹菌が全く付かずにそのまま乾いたような粒が無いか確認。こういった粒が全く無いのが理想。一粒の米全体に麹菌が行き渡っているのを 『ハゼ回り』 といい、麹菌が米に食い込んでいることを 『ハゼ込み』 という。ハゼ回りとハゼ込みを良くする為には、種付け後の米は麹菌の菌糸が発育すると固まるので、これをできるだけほぐすことで一粒一粒の米粒全体にハゼ回らせることができ、その後時間を使うことでハゼ込みがなされると考えられる。

麹作り体験記

麹が出来た頃にうっかり炊飯器の設定を誤って麹を50度台に保ってしまった。部屋に甘~い香りが充満して気がついたのだが、麹の下部が柔らかくなりすぎて粒同士がかなり融合し、米が酵素分解されたのであろう、生成された糖の香りがプーンと香っていた。まさに、固形甘酒だと思った。

麹の使い方

米(ご飯)と混ぜ、55度ほどで数時間保温すると甘酒ができる。この甘酒に酵母の作用が加わると日本酒ができる。塩と煮て潰した大豆と混ぜて数ヶ月発酵させると味噌ができる。

麹の役割と酵素の役割

麹や麹菌を使った発酵食品作りにおける麹の役割は酵素を作る事。デンプンやたんぱく質を分解する能力の高い酵素をたくさん作ってくれたら、そこからはその酵素が食品作りに用いられ、活躍を期待される。よって、酵素が作られたらそれ以降は麹菌は生きていなくてもよい。

麹Q&A

麹菌は善玉菌?!
「麹菌は善玉菌です」などという話があるが、これには非常に違和感を覚える。
善玉菌や悪玉菌という言葉は腸内細菌(腸内フローラ)の話で出てくる言葉で、腸内で活動し人に良い影響を与える菌を善玉菌、一方、悪い影響を与える菌を悪玉菌という。その他、日和見菌と言われている菌もあるが、三者とも腸内で生きて活動する菌を指す。
ところが、麹菌というのはカビの一種であり、カビというのは空気(酸素)がないと生きも育ちもしない。では腸内には空気があるのかというと、空気(酸素)の無い嫌気的環境という。
よって、空気(酸素)が無くても活動する乳酸菌やビフィズス菌が腸内で活動するのはわかるが、空気がないと生育しない麹菌が腸管内で活動するなどという論は矛盾しており、つじつまが合わない。よって「麹菌は善玉菌です」というのは正しくない。
麹菌が空気がないと活動しないなどという事は麹菌の性質の基本中の基本な知識。
彼は麹菌が腸内で活動しているという事を確認したのだろうか?
確認も取れていないのにあたかもそれがそうだと断定する事は、見てもいないのに「俺は見た」というのと同じ事。
こうじはそのまま食べられますか?
はい、食べられます。しかし、乾燥こうじは硬く、特に粒状のこうじをそのまま食べた場合、歯を痛める可能性があります。歯を削って詰め物をしている場合は注意が必要。それ以外には特に問題は浮かばない。こうじには食品を消化する酵素がたくさん含まれているので、食べたものの消化を助けてくれるでしょう。
こうじは腸の中でも生きて活動しますか?
こうじ作りには空気(酸素)が必要。よって、これが無い環境下での生育や生存は難しいでしょう。腸内には充分な空気や酸素があるとは思えず、いくら人の健康に寄与する有用菌といえど、こうじ菌が腸内で活動する事までは期待も考えもし難そうです。